自然・地球・宇宙
2007年01月16日
お月様に伝えたい事はありますか? セレーネ「月に願いを!」キャンペーン
今、宇宙航空研究開発機構(JAXA ジャクサ)では“セレーネ「月に願いを!」キャンペーン”というものをやっています。
と、書きましたが、「JAXAって?」「セレーネ?」と言う方が多いんじゃないでしょうか?
数年前、国立大学や博物館、研究機関が法律改正により「独立行政法人化」されました。
その流れを受けて、宇宙や惑星の研究が中心の「宇宙科学研究所(ISAS)」と次世代の航空宇宙技術の研究開発が中心の「航空宇宙技術研究所(NAL)」、そしてH-IIAロケットなどの大型ロケットや人工衛星、国際宇宙ステーションの開発が中心の「宇宙開発事業団(NASDA)」の3機関が統合して誕生したのが独立行政法人「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」なのです。
それまではお互いの所属官庁が異なる為、細かい部分での連携が難しい状況でしたが、この法律改正により基礎研究から開発・利用に至るまで一組織として一貫して行える体制が整ったのです。
他方、資金調達面においては自助努力が強く求められるといった具合で大変な面も持ち合わせている組織でもあります。
そのJAXAが日本の宇宙航空分野における技術の粋を結集し、宇宙へのチャレンジをしているプロジェクトがあります。
それが、月周回衛星SELENE(セレーネ)プロジェクトなのです。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2007年の夏に月周回衛星SELENE(SELenological and ENgineering Explorer)をH-IIAロケットにより、種子島宇宙センターから打上げる予定です。
このSELENEプロジェクトでは、「月がどのように形成され、どのような変遷をして現在に至っているか(月の起源と進化あるいは略されて月の科学と称されます)」の核心に迫る科学データを取得することを目指しています。
これは、日本が独自で行なうアメリカのアポロ計画以来のかなり本格的な月探査プロジェクトで、月を周回し、最新で高性能な14種の観測機器を用いて、月全域について、元素分布、鉱物分布、地形、表層構造、重力分布、磁場分布、月環境について、高精度な観測を行います。
そしてこれらの観測データを統合的に解析することで、月がどのような物質で構成されているか、月の内部構造、月の表裏の地質の違い、誕生後に発生したと考えられている溶融状態からの変遷、火山活動の歴史などが明らかにされ、この結果、月の起源と進化の謎の核心へ迫ることができると考えているのです。
一方アメリカでは、NASAが、2004年1月に大統領が発表した新宇宙政策の実行を目指し、2018年頃から有人月探査を始める計画を精力的に進めています。
この、21世紀の月面有人活動・利用では、アポロ計画と異なり、月の資源を活用することになりそうです。このため、月面上の有用物質である水氷、鉱物などの分布の把握が重要となりますが、SELENEが取得するデータは、この点からも大きな役割を果たすことになります。
つまりバックボーンとしては月資源情報確保と言う国家戦略的な面も内包されているようです。<南極条約>のような国家間の緩い縛りすらない月ですから、タイミングが遅れると立場的に大きな損失を被る事は明白です。
ぜひとも成功させて欲しいプロジェクトです。
といった、“生臭い”お話はさておき、このSELENEプロジェクトに関連して、探査衛星セレーネ本体に取り付けるシートに名前とメッセージを刻み込み打ち上げようと言うキャンペーンが行なわれています。
それが“セレーネ「月に願いを!」キャンペーン”なのです。
現在、往復葉書とインターネットの両方で受付が行なわれています。
締め切りは今月1/31(消印有効)までです。
シートを取り付けられるスペースが小さいため、お名前 : 10文字以内(英語の場合 20文字以内)・メッセージ文字数 : 20文字以内(英語の場合 40文字以内)という制限があります。
詳しいことはこちらのサイトをご覧下さい。
締め切りまでもう少し時間がありますので、じっくり考えてステキなメッセージを月に住むウサギや女神様、そしてかぐや姫宛に送ってあげて下さいね。