与謝野晶子文芸館(堺市立文化館)の見学報告についてのお話です。ぜひご覧下さい


2006年06月19日

与謝野晶子文芸館(堺市立文化館)の見学報告

日曜日に大阪堺市にある堺市立文化館に行って来ました。

与謝野晶子写真1堺市出身の歌人(文人)与謝野晶子を記念して作られた資料館です。
規模はさほど大きくありませんが、多くの資料と共に与謝野晶子の生涯を大まかに学ぶ事が出来る構成となっていました。

まず最初に置いてあるのが、与謝野晶子が東京荻窪の自宅で実際に愛用していた鏡台や箪笥などの家具類です。
いずれも木製で簡素なつくりの物でした。

その後はたくさんのパネルや展示ケースが並びます。
みだれ髪の表紙ケース内には晶子が投稿していた雑誌「明星」や出版された代表作<みだれ髪>をはじめとする数多くの作品集や評論集、直筆の書などが展示されておりました。
また、京都鞍馬寺の住職が晶子の夫、与謝野鉄幹に師事していたという関連で、晶子が夫と共に鞍馬寺で暮らしていた頃に愛用していた食器や湯飲み茶碗なども展示されておりました。

パネルでは、晶子の生涯が割合詳しく紹介されておりました。

以下にかいつまんで紹介したいと思います。

与謝野晶子は明治11年(1878年)12/7に堺で有名な和菓子屋の次女として生まれました。
男4人、女6人の合計10人兄弟の3番目。戸籍上の名前は「晶子」ではなく「志よう」となっています。
上の兄、姉は先妻の子供、また彼女の弟、妹のうち、4人は幼くして亡くなっております。

明治25年(1892年)に堺女学校(現在の府立泉陽高校)を卒業後、明治29年(1896年)に堺敷島会に入会する事で文壇活動を開始。

明治33年(1900年)「明星」2号にはじめて短歌が掲載された後、8月、後に夫となる与謝野鉄幹(寛)と初めて出会います。
翌34年1901年)の6月には鉄幹の追って上京、8月には歌集<みだれ髪>を刊行、9月には22歳で鉄幹と結婚しています。
ですので、この<みだれ髪>では鉄幹へのあふれる思いと、青春のみずみずしさとが歌い上げられ、当時の若い世代から圧倒的な支持を得た歌集となりました。
文学史的にも<みだれ髪>は浪漫主義の代表作とされています。

与謝野晶子の代表作として有名な<君死にたまふこと勿れ>は明治37年(1904年)9月、「明星」に発表されています。
時代の圧力に屈しない彼女の強さの表れともいえる作品です。

こちらのサイト(名詩朗読喫茶室)で<君死にたまふこと勿れ>の朗読を聴く事が出来ます。

明治44年(1911年)11月に鉄幹が渡欧すると、翌明治45年(1912年)5月には、夫恋しさからシベリア鉄道経由でパリへ追いかけていきます。
もちろん、当時生まれていた7人子供達は日本に残したままです。

これらの行動が、『情熱の歌人』と呼ばれる所以なのでしょう。

結局子供恋しさから、10月には海路で単身帰国しています。(鉄幹帰国は翌大正2年(1913年)1月、4月には4男アウギュストが生まれています)

与謝野晶子写真2その後、女性の権利に焦点を当てた論評を多く発表し、平塚らいてふ女史との間で“母性保護論争”を展開しています。
さらに夫鉄幹らと共に<文化学院>を設立するなど、女性教育の場でも積極的な役割を果たしました。

また、短歌や論評のみならず<源氏物語>をはじめとする古典文学の現代語訳をライフワークとしていたという一面もあります。

昭和10年(1935年)3月に夫鉄幹が急性肺炎のため62歳で亡くなった以後、晶子は残された子供達の自立を見届け、昭和17年(1942年)5月29日、63歳で亡くなっています。

パネルではこのほか与謝野鉄幹・晶子夫妻の幅広い交友関係なども紹介されています。

館内では展示に関連した簡単な参考資料類が無料で配布されておりますし、2階のミュージアムショップでは晶子が使用していた物と同じ「玉川堂」製の短冊や色紙、与謝野晶子関連の書籍やグッズが販売されておりました。

国語の時間だけでは分からない<与謝野晶子>を知る大変よい場所だと思いますので、お時間のある方は一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか?


ベルマージュ堺遠景最寄り駅はJR阪和(はんわ)線堺駅。すぐお隣にあるベルマージュ堺弐番館の2Fから4Fが堺市立文化館のスペースとなっています。

開館時間は 9:30-17:15(入場は16:30まで)
休館日は 第2、第4月曜日と12/29-1/5までの期間

観覧料は与謝野晶子文芸館とアルフォンス・ミュシャ館両方が見られて
大人 ¥500 高校・大学生 ¥300 小・中学生 ¥100 と非常にリーズナブルです。



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